スレート屋根は屋根材と屋根材の重なり部分に隙間が設けられています。
何のために設けられているかというと、通気と水分を排出するためです。
普通の雨の場合、屋根材の下に雨水が浸入することはありませんが、横殴りの激しい雨の場合、屋根材の下に雨水が入り込んでしまうこともあります。
この雨水や湿った空気を出口として隙間が設けられているのです。
スレート屋根の場合、この隙間の大きさが適切でないと困ったことが起こります。
隙間がゼロだと浸入した雨水を排出できませんし、狭すぎると毛細管現象が起こして雨水を吸い上げてしまうのです。
吸い上げられた雨水は防水紙を劣化させていきますし、雨漏りの原因にもなります。
タスペーサーとは、この隙間を確保し塗料がふさがないようにするための板状の道具です。
このタスペーサーを設置していくことを「縁切り」と言います。
タスペーサーを使える屋根の種類
タスペーサーが使えるのはスレート屋根のみ
スレート屋根とは、セメントや天然岩を板状にした屋根材で、日本の住宅では最も利用されている製品です。
屋根材が「コロニアル」や「カラーベスト」と呼ばれていればスレート屋根です。
なかでも、新品または塗装メンテナンス1回目のスレート屋根にタスペーサーを使います。
理由は、劣化が進んでいると屋根材が割れるおそれがあるためです。
なお、1996〜2008年ごろのスレート材だとタスペーサーが使えないおそれがあります。
この時期はアスベストに代わる屋根素材を探していたころで、耐久性に難がある商品が大手メーカーからも販売されていました。
耐久性に難があるスレート屋根だと割れるおそれがあるため、タスペーサーは使えません。
自宅のスレート屋根材でタスペーサーが使えるかどうかは見積もり時に確認しましょう。
タスペーサーの設置費用
タスペーサーの設置費用は㎡あたり300円~500円が相場で、一般的な戸建ての場合20,000円~40,000円程度となります。
タスペーサーの種類
タスペーサー01
2017年5月に発表された新製品。
毛細管現象がより起こりにくい形状を採用したことで雨水の切れと通気性がアップ。塗料の用材に対する耐性も向上。
タスペーサー02
スレートの傷みがない場合に使用するタイプ。
手で重なり部分の隙間に挿入できる。
どこなく家を思わせる形状が特徴。
タスペーサー03
スレートや下地が傷んでいる場合に使用するタイプ。
コの字形をしている。
塗装における縁切りはとても大切で、きちんと行われていなければトラブルに発展することがあります。
後々、雨漏りなどにもつながってしまうので、業者に縁切りやタスペーサーについてきちんと確認されることをお勧めします。
塗装後に、写真付きの報告書を見ることで、縁切りが行われたかどうかの確認ができるため、より安心です。